こんにちは。
最近急に涼しくなってびっくりしています。
過ごしやすくていいのですが、体調を崩す人も出てくるのではないかとちょっと心配です。
さて、今日はジュエリーに欠かせない彫留めの職人さんの作業中に写真を撮らせていただいたのでご紹介しますね。
彫留めって何?とお思いの方に説明しますと、ダイヤなどの石を貴金属に留める技法のひとつです。
このルビーの指輪のように、石座があって爪を立てているのがいわゆる「爪留め」というものです。
エンゲージリングの中石はだいたいこの留め方ですが、この指輪のように小さな石を留めるのにも使われます。
光をたくさん取り込んできらきら光りますが、ひっかかりやすいという側面もあります。
「彫留め」は、平らな地金の部分をタガネという道具で彫りながら同時に爪を作って留めていく技法です
主にメレーダイヤと呼ばれるような小さな石を留める際に使われます。
もともとの地金を彫り下げて留めるので、爪が小さくでっぱりがあまりないのが特徴です。
爪のない留め方など、彫留めと一口に言ってもいろいろな技法があるのですが、その話はまた今度。
この指輪のはなびらを表現した部分が彫留めです。
爪が小さいためダイヤをぎっしり詰めて留められますので、一体感のある輝きがとてもゴージャスに見えます。
流れるような彫留めのラインはうっとりするくらい綺麗でいつまでも見ていたくなるほどなんですよ。
彫るといってもプラチナやゴールドは硬いので、綺麗なラインでタガネを入れるのが難しく、職人さんの腕がとても出てしまいます。
高いレベルの彫留めを行えるまでにとても長い時間修行をしなければならないため、最近では職人さんの数が減ってしまって、ジュエリー業界でも頭の痛い問題です。
さて、彫留めを行う際には、このように「ヤニ台」と呼ばれるものに下磨きをしたものを固定します。
ハンドボールの滑り止めで使われる松脂などが使われます。熱すると柔らかくなり、冷えるとしっかり固まってくれます。
彫留めを行うには力がいります。力を逃がさないようにしっかりと固定する必要があるんですね。
とても細かい作業なのでルーペでひとつひとつ確認しながら留めていきます。
まさに熟練の技!!
今回は大きめの商品なのでまだ何をしているかわかりやすいのですが、マリッジリングとかの作業だと、手元で何をしているかはもっと近づいてみないとわからないんです。
ジュエリーって結構ミクロの世界です。
そして留め終わったのがこちら!
ま、まぶしい!!
このように地金がまったく見えないように留めるのは特に「パヴェ留め」と呼ばれます。パヴェとはフランス語で石畳のことです。
上の作業中の写真ではヤニの中に埋まってましたが、内側にもぎっしりダイヤが留まっています。
全部で146ピース! 彫留めを終えるのに何日もかかりました。
そしてこれ、まだ完成ではなく、他のパーツと合体させてまた石を留めて、と作業が続くのでした。
ジュエリーってとっても手がかかります。手作業ですからね。
人間の手だからこそ、こんなに綺麗なものができるんだと私は思います。
おまけ:彫留めの職人さんの作業机はこんな感じです。
職人さんによって机の雰囲気って全然違います。かなり性格が出ますよ。
以前女性の職人さんの作業机を見せてもらったのですが、「なるほど、女性の机だ」と思いました。
職人さんの作業机比較をしてみたらおもしろいかもしれませんね。